たけのこ赤軍の自由帳

整数論とかNonaReevesとかが好きな中学生のブログ。

三角関数について(その1)

この記事はこの曲を聴きながら読むのがオススメです:
NONA REEVES - メモリーズ ~ひと夏の記憶~


メモリーズ ~ひと夏の記憶~ [LIVE]/NONA REEVES




2017年5月13日に大阪で行われた第6回ロマンティック数学ナイトにおいて私はショートプレゼンを行い、その中で主定理として以下を示しました:


[定理1(レルヒ/1897)]


\displaystyle\begin{eqnarray}\sum_{m,n=-\infty\atop{(m,n)\neq{(0,0)}}}^{\infty} \frac{1}{(m+ni)^4}=\frac{\varpi^4}{15}\end{eqnarray}

プレゼン内でこういうことを話しました。

バーゼル問題とこれって似てない?」

実際似てるんです。バーゼル問題は「自然数2乗逆数和」で、この問題(レルヒの定理と呼びましょう)は「ガウス整数の4乗逆数和」ですからね。

さて、ここでリーマンがかの有名なゼータ関数\zeta(s)を作り出したきっかけを思い出してみましょう。

それは紛れもなくバーゼル問題です。すなわち、リーマンはバーゼル問題の中にあった「自然数2乗の逆数和」を一般化して「自然数s乗の逆数和」とし、それをゼータ関数としたのです:

\displaystyle\begin{eqnarray}\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s}\end{eqnarray}

このとき、私がレルヒだったらこう考えていたでしょう。

「リーマンのやつ、バーゼル問題を一般化してゼータを作ったな。じゃあ、オレだって同じことしてやろうじゃないか」

ということで、以下の関数を定義します:


[定義2]


\displaystyle\begin{eqnarray}G(k)=\sum_{m,n=-\infty\atop{(m,n)\neq{(0,0)}}}^{\infty} \frac{1}{(m+ni)^k}\end{eqnarray}

見るからに面白そうなヤツを作り出してしまいました。しかし、数学者たるものこんなもんでは満足しないのです。アイゼンシュタインはこれをさらに拡張した関数を定めます。



[定義3]


\displaystyle\begin{eqnarray}G_k(z)=\sum_{m,n=-\infty\atop{(m,n)\neq{(0,0)}}}^{\infty} \frac{1}{(mz+n)^k}\end{eqnarray}

これを「アイゼンシュタイン級数」といいます。こいつは非常に奇妙な関数で、何と言っても特徴的なのは「表も裏もゼータである」という点でしょう。

表も裏もゼータ、といってもなんのことかわからないかと思います。そりゃもちろん、私が勝手に考えた言葉ですから。

解析的整数論では割りと有名な事実として、こういうものがあります:


[命題4]


数列a_n\in{\mathbb{C}}に対して、以下のような級数を定める:

\displaystyle\begin{eqnarray}f(z)=\sum_{n=1}^{\infty} a_ne^{2\pi inz}\end{eqnarray}

これがz\in{H}=\{z|\mathrm{Im}(z)>0\}で収束する時、これのメリン変換はa_nゼータ関数L(s)を作り出す:

\displaystyle\begin{eqnarray}F(s)&=&\int_{0}^{\infty} f(iy)y^{s-1}dy\\&=&(2\pi)^{-s}\Gamma(s)L(s)\end{eqnarray}

ここで、

\displaystyle\begin{eqnarray}L(s)=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{a_n}{n^s}\end{eqnarray}

これが言っているのは、要するに「数列の母関数をメリン変換したらゼータになるよ」ということです。

命題4ではゼータをだいぶ限定的な書き方(分母がn^sになっている)をしているのですが、実際のところ一般のゼータはこんなに堅苦しい定義ではありません。

分母が自然数s乗ではなく、整係数二次形式のs乗のような形になっている超フリーダムな格好をしたゼータもあります。ここでは詳しく述べませんが、エプシュタインのゼータ関数やヘッケのL関数などがそれですね(実は前記事で述べたRAESはそれの特殊な場合だったり)。


私は普段よく、関数の表や裏といった言い方をします。これはどういうことかというと、母関数を「表側」ゼータを「裏側」という風に呼んでいるのです。

つまり、一般の冪級数\sum_{}^{} a_nx^nx=e^{2\pi iz}を代入してメリン変換することで「裏返って」、たちまちゼータになってしまうわけですね。メリン変換には「逆メリン変換」というのもあるので、ゼータを再び裏返して表向きにすることももちろん可能です。

ここまで言うと、私が先程述べた「表も裏もゼータ」という言葉がはっきりとした輪郭を持ってくるかもしれません。

すなわち、アイゼンシュタイン級数は「母関数」でもあって「ゼータ」でもあるのです。その姿を見てみましょう:


[G_k(z)の表側]


\displaystyle\begin{eqnarray}G_k(z)=2\zeta(k)\left(1-\frac{2k}{B_k}\sum_{n=1}^{\infty} \sigma_{k-1}(n)e^{2\pi inz}\right)\end{eqnarray}


[G_k(z)の裏側]


\displaystyle\begin{eqnarray}G_k(z)=\sum_{m,n=-\infty\atop{(m,n)\neq{(0,0)}}}^{\infty} \frac{1}{(mz+n)^k}\end{eqnarray}


裏側は先程見た定義のとおりですね。集合L_z=\{mz+n|m,n\in{\mathbb{Z}}\}の元のk乗逆数和を渡る和という点がゼータっぽい要素です。

不思議なのは表側の方です。なんと、約数関数とベルヌーイ数を係数にもつ冪級数として書けてしまいました(この事の証明はまた今度の記事でやります)。

これが、「両面ゼータ」ことアイゼンシュタイン級数の美しい姿です。



グレブナー基底大好きbotさん作「最近、妹がグレブナー基底に興味を持ち始めたのだが。」の二話にこんな言葉があります。

「実数は、まだ人類には早すぎる。」

そうなんです。実数なんてもんはめちゃくちゃでかいんです。

だとしたら、実数をさらに押し広げてしまった複素数なんてものはもっともっとでかくて、人類どころか宇宙人にも扱いづらい対象なのではないでしょうか。

しかし、アイゼンシュタイン級数G_k(z)と言うかたちをしています。カッコの中にいる変数はz、即ち複素数です。

こんなものは人類には扱えるはずがありません。ということで、名残惜しいですが限定してしまいましょう。


[定義5]


\displaystyle\begin{eqnarray}C_k(l)=\sum_{m,n=-\infty\atop{(m,n)\neq{(0,0)}}}^{\infty} \frac{1}{(m\zeta_l+n)^k}\end{eqnarray}

ここで、

\zeta_l=\exp\left(\frac{2\pi i}{l}\right)

\zeta_lは所謂「1のl乗根」と呼ばれるやつです。

私たちにとって大きすぎた複素数も、ここまで制限してやるとある程度は扱えるようになります。





さて、ここで少しだけ話題転換。リーマンゼータの特殊値公式を見ていただきたいのです。


[定理6]


\displaystyle\begin{eqnarray}\zeta(2n)=\frac{(-1)^{n+1}(2\pi)^{2n}}{2(2n)!}B_{2n}\end{eqnarray}

[定理6証明]

まず三角関数の無限積展開

\displaystyle\begin{eqnarray}\sin(x)=x\prod_{n=1}^{\infty} \left(1-\frac{x^2}{\pi^2n^2}\right)\end{eqnarray}

において、\displaystyle x=\frac{u}{2i}を代入します:

\displaystyle\begin{eqnarray}\sin\left(\frac{u}{2i}\right)&=&\frac{u}{2i}\prod_{n=1}^{\infty} \left(1+\frac{u^2}{4\pi^2n^2}\right)\\&=&\frac{u}{2i}\prod_{n=1}^{\infty} \frac{4\pi^2r^2+u^2}{4\pi^2r^2} \tag{1}\end{eqnarray}

ここで、オイラーの公式より\displaystyle\begin{eqnarray}\sin(x)=\frac{e^{ix}-e^{-ix}}{2i}\end{eqnarray}なので、

\displaystyle\begin{eqnarray}\sin\left(\frac{u}{2i}\right)&=&\frac{e^{i\frac{u}{2i}}-e^{-i\frac{u}{2i}}}{2i}\\&=&\frac{e^{\frac{u}{2}}-e^{-\frac{u}{2}}}{2i}\\&=&\frac{e^{\frac{u}{2}}(1-e^{-u})}{2i} \tag{2}\end{eqnarray}

(1)の対数微分

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{d}{du}\log\left(\frac{u}{2i}\prod_{n=1}^{\infty} \frac{4\pi^2r^2+u^2}{4\pi^2r^2}\right)&=&\frac{d}{du}\left(\log(u)-\log(2i)+\sum_{n=1}^{\infty} \log(4\pi^2r^2+u^2)-\log(4\pi^2r^2)\right)\\&=&\frac{1}{u}+\sum_{n=1}^{\infty} \frac{2u}{4\pi^2r^2+u^2} \tag{3}\end{eqnarray}

(2)の対数微分もとって、

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{d}{dx}\log\left(\frac{e^{\frac{u}{2}}(1-e^{-u})}{2i}\right)&=&\frac{d}{dx}\left(\frac{u}{2}+\log(1-e^{-u})-\log(2i)\right)\\&=&\frac{1}{2}+\frac{(-1)(-1)e^{-u}}{1-e^{-u}}\\&=&\frac{1}{2}+\frac{1}{e^u-1} \tag{4}\end{eqnarray}

(3),(4)はもちろん等しいので、以下等式を得ます:

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{1}{2}+\frac{1}{e^u-1}=\frac{1}{u}+\sum_{n=1}^{\infty} \frac{2u}{4\pi^2r^2+u^2} \tag{5}\end{eqnarray}

ここで、ベルヌーイ数の定義を思い出しましょう。こうでしたね:

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{u}{e^u-1}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n\end{eqnarray}

最初のほうの値\displaystyle B_0=1, B_1=-\frac{1}{2}を用いてちょっと変形して、

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{1}{e^u-1}&=&\frac{1}{u}\sum_{n=0}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n\\&=&\frac{1}{u}\frac{B_0}{0!}u^0+\frac{1}{u}\frac{B_1}{1!}u^1+\frac{1}{u}\sum_{n=2}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n\\&=&\frac{1}{u}-\frac{1}{2}+\frac{1}{u}\sum_{n=2}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n \tag{6}\end{eqnarray}

(6)(5)の左辺に代入すると、

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{1}{2}+\frac{1}{u}-\frac{1}{2}+\frac{1}{u}\sum_{n=2}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n&=&\frac{1}{u}+\sum_{n=1}^{\infty} \frac{2u}{4\pi^2r^2+u^2}\\ \sum_{n=0}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n&=&\sum_{n=1}^{\infty} \frac{2u^2}{4\pi^2r^2+u^2} \end{eqnarray}

最後の変形では両辺にuをかけていることに注意してください。

そしてこの式を、等比級数の和公式などによって変形していきます。今までも割りと計算が大変でしたが、このパートはさらにめんどくさいので手元に紙とペンがあれば計算を追っていくのをオススメします:

\displaystyle\begin{eqnarray}\sum_{n=2}^{\infty} \frac{B_n}{n!}u^n&=&2\sum_{n=1}^{\infty} \frac{u^2}{4\pi^2n^2+u^2}\\&=&2\sum_{n=1}^{\infty} \frac{u^2}{4\pi^2n^2\left(1+\left(\frac{u}{2\pi n}\right)^2\right)}\\&=&2\sum_{n=1}^{\infty} \left(\frac{u}{2\pi n}\right)^2\frac{1}{1+\left(\frac{u}{2\pi n}\right)^2}\\&=&2\sum_{n=1}^{\infty} \left(\frac{u}{2\pi n}\right)^2\sum_{r=0}^{\infty} (-1)^r\left(\frac{u}{2\pi n}\right)^{2r}\\&=&2\sum_{r=0}^{\infty} (-1)^r\sum_{n=1}^{\infty} \left(\frac{u}{2\pi n}\right)^{2r+2}\\&=&2\sum_{k=1}^{\infty} (-1)^{k+1}\sum_{n=1}^{\infty} \left(\frac{u}{2\pi n}\right)^{2k}\\&=&2\sum_{k=1}^{\infty} (-1)^{k+1}\left(\frac{u}{2\pi}\right)^{2k}\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{2k}}\\&=&2\sum_{k=1}^{\infty} \frac{(-1)^{k+1}}{(2\pi)^{2k}}\zeta(2k)u^{2k}\\&=&2\sum_{n=1}^{\infty} \frac{(-1)^{n+1}}{(2\pi)^{2n}}\zeta(2n)u^{2n}\end{eqnarray}

両辺の係数を比較すると、

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{B_{2n}}{(2n)!}&=&\frac{(-1)^{n+1}}{(2\pi)^{2n}}\zeta(2n)\\ \zeta(2n)&=&\frac{(-1)^{n+1}(2\pi)^{2n}}{2(2n)!}B_{2n}\end{eqnarray}

以上にて結論を得ます。



この定理は\zeta(2n)有理数B_n\piで表現できる、というものです。

さて、ベルヌーイ数は母関数としての定義以外に次のような漸化式を満たすものとしても定められます:


[定義7]


\displaystyle\begin{eqnarray}B_0&=&1\\-(2n+1)B_{2n}&=&\sum_{k=1}^{n-1} \binom{2n}{2k}B_{2k}B_{2n-2k}\end{eqnarray}


そして、唐突ではありますが、次のような数列を導入します:



[定義8]


\displaystyle\begin{eqnarray}e_0&=&-1\\(2n+3)(4n-1)(4n+1)e_{4n}&=&\sum_{k=1}^{n-1} (4k-1)(4n-4k-1)\binom{4n}{4k}e_{4k}e_{4n-4k}\end{eqnarray}

有理数\{e_n\}_{n=0}^{\infty}を定め、これをフルヴィッツ数と呼ぶ。

定義8は、定義7とどことなく似ている気がしませんか?漸化式で定義されているところや、特定の倍数(定義7では2の倍数、定義8では4の倍数)の項以外が存在しないところや、漸化式の和に二項係数が出てきているところなどです。

ここでフルヴィッツ数を導入したのは、「ベルヌーイ数と似ているもの」を作るためです。

定理6で述べられている通り、\zeta(2n)はベルヌーイ数と円周率で作り上げられています。

なので、\zeta(2n)と似たものを作り上げようと思えば、ベルヌーイ数や円周率に似たものを導入する必要があるわけですね。

ベルヌーイ数と似たものを導入すれば、必然的に円周率と似たものも作る必要があります。そのために円周率の定義を見直しましょう。



[定義9]


定数\piは以下のように定義され、円周率と呼ばれる:

\displaystyle\begin{eqnarray}\pi=2\int_{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}\end{eqnarray}


円周率を、積分を使って定義しています。図形的な視点からも、この定義が一番自然ですね。

そして、円周率と似た定数をまた積分で定義します。


[定義10]


定数\varpiは以下のように定義され、レムニスケート周率と呼ばれる:

\displaystyle\begin{eqnarray}\varpi=2\int_{0}^{1} \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}}\end{eqnarray}


レムニスケート周率という名前は、文字通り「レムニスケート」という図形の周長の半分であることからきています。

円周率が円の周長の半分であることからもわかりますね。


さて、こうして私たちはベルヌーイ数と円周率にそれぞれ似ているものを作り出しました。これらを用いて、ようやく次の定理を述べることが出来ます。


[定理11]


\displaystyle\begin{eqnarray}C_{4n}(4)=\frac{(2\varpi)^4}{(4n)!}e_{4n}\end{eqnarray}

定理6とやはり似ていますね。違う点は以下の通り:


(1)定理6の分母には2があったのに、定理11の分母は階乗だけになっている
(2)定理6の分子には符号の補正があったのに、定理11にはない



相違点(1)の原因は、リーマンゼータ関数が「整数」ではなく「自然数」を渡っている点にあります。

もしリーマンが、

\displaystyle\begin{eqnarray}\zeta(s)=\sum_{n=-\infty\atop{n\neq{0}}}^{\infty} \frac{1}{n^s}\end{eqnarray}

と定義していれば、定理6の右辺の分母に2が現れることはなくなって定理11と揃ってくれます。

相違点(2)については、かなり複雑な要因が絡み合った結果生まれた相違点なので今後の記事に回すことにします。ごめんなさい。


では、定理11の証明をしていきましょう...といいたいところですが、そのためにはまだ一人足りないメンバーがいます。というわけで呼びました。


[定義12]


\displaystyle\begin{eqnarray}\wp(z)=\frac{1}{z^2}+\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \frac{1}{(z-l)^2}-\frac{1}{z^2}\end{eqnarray}

ただし、ここでLは二つの複素数\omega_1,\omega_2によって決まる集合

\displaystyle\begin{eqnarray}L=\{m\omega_1+n\omega_2|m,n\in{\mathbb{Z}}\}\end{eqnarray}

である。

Lは一般的に「格子」なんて言われる集合ですが、私はこの名称が(なんかダサいから)嫌いなので英名のlatticeと呼ぶことにします。

そして、関数\wp(z)はいわゆるワイエルシュトラスの楕円関数ですね。この記事タイトルが「三角関数について」である理由は、この楕円関数と三角関数の著しい類似を示すことが主目的だからです(といっても、この記事でその類似が明らかになるのは定理11だけですが...)。

\wp(z)を扱いやすいように変形するためには、まず等比級数の公式をつかいます。

\displaystyle\frac{1}{1-x}=1+x+x^2+x^3+\cdots

ですね。次に、この両辺を微分します。

\displaystyle\frac{1}{(1-x)^2}=1+2x+3x^2+4x^3+\cdots

x=\frac{z}{l}を代入すると、

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{1}{(1-\frac{z}{l})^2}=1+2\frac{z}{l}+3\frac{z^2}{l^2}+4\frac{z^3}{l^3}\cdots\tag{7}\end{eqnarray}

となるので、両辺から1を引いて\displaystyle\frac{1}{l^2}を掛けると

\displaystyle\begin{eqnarray}\frac{1}{(l-z)^2}-\frac{1}{l^2}=2\frac{z}{l^3}+3\frac{z^2}{l^5}+4\frac{z^3}{l^6}\cdots\end{eqnarray}

となります。これを定義12にある式に代入すると、以下を得ます:

\displaystyle\begin{eqnarray}\wp(z)=\frac{1}{z^2}+\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} 2\frac{z}{l^3}+3\frac{z^2}{l^5}+4\frac{z^3}{l^6}\cdots\tag{8}\end{eqnarray}

(7)でうまく収束するように小さくzをとったとき、式(8)の二重級数はともに絶対一様収束するので和を交換でき、

\displaystyle\begin{eqnarray}\wp(z)&=&\frac{1}{z^2}+\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \sum_{n=1}^{\infty} (n+1)\frac{z^n}{l^{n+2}}\\&=&\frac{1}{z^2}+\sum_{n=1}^{\infty} \sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} (n+1)\frac{z^n}{l^{n+2}}\\&=&\sum_{n=1}^{\infty} (n+1)G_{n+2}z^n\end{eqnarray}

とできます。ここで、

\displaystyle\begin{eqnarray}G_n(L)=\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \frac{1}{l^n}\end{eqnarray}

と置いています。関数G_n(L)n,\omega_1,\omega_2によって決まっていることに注意して下さい。

\omega_1=1,\omega_2=iとおくと、

\displaystyle\begin{eqnarray}G_k(L)&=&\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \frac{1}{l^k}\\&=&\sum_{m,n=-\infty\atop{(m,n)\neq{(0,0)}}}^{\infty} \frac{1}{(m+ni)^k}\end{eqnarray}

奇数2n+1に対し、

\displaystyle\begin{eqnarray}G_{2n+1}(L)&=&\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \frac{1}{l^{2n+1}}\\&=&\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \frac{1}{(-l)^{2n+1}}\\&=&-\sum_{0\neq{l}\in{L}}^{} \frac{1}{l^{2n+1}}\\&=&-G_{2n+1}(L)\end{eqnarray}

ゆえにG_{2n+1}(L)=0となるため、\wp(z)の展開は偶数項だけを渡る和となります:

\displaystyle\begin{eqnarray}\wp(z)=\frac{1}{z^2}+\sum_{n=1}^{\infty} (2n+1)G_{2n+2}(L)z^{2n}\end{eqnarray}

これである程度は扱いやすい形になったのではないでしょうか。

とりあえず、長くなるので今回の記事はここまでとしておきます。次回では、導いた\wp(z)の展開と微分方程式を利用して定理11を示す予定です。