たけのこ赤軍の自由帳

反復積分とNona ReevesとPrinceとRED SPIDER

【ライブレポート/ネタバレ含】Creepy Nuts TWO MAN TOUR「生業」4/30大阪

この記事はこの曲を聴きながら読むのがオススメです:
Creepy Nuts - 生業

www.youtube.com


今年の年明けぐらいからCreepy NutsとかRHYMESTERにものすごくハマっています。どういうわけだか。
そんな折にCreepyがライムスと対バンをやるぞ、という情報を目にしたらもう行くしかないワケです。これは俺のためのライブや。

ということで、帰省がてらに2022年4月30日、Creepy Nuts TWO MAN TOUR「生業」w/ RHYMESTER at Zepp Osaka Bayside に参加してきた話です。とはいえ2週間ほど空いたのでかなり記憶が曖昧です。


個人的には日が浅いのもあって両グループともそこまで深く掘ってるわけではなく、例えばApple Musicの「はじめての~」みたいなプレイリストなら全部わかるけどもマイナー曲になるとなぁ、というぐらいの感覚でした。普段はNona ReevesだのKIRINJIだのPrinceだのと当たり前に全曲知っているグループの (トリビュート) ライブ、しかもワンマンばかり行っているので、かなり新鮮。両グループはもちろん、ヒップホップのライブ自体も初めてでした。

Act 1. RHYMESTER

最初に見えたのはDJ JINのパワフルなシャウト。RHYMESTERをちゃんと聞き始める前はノーナとかKIRINJIで断片的に知っていただけだったので、こんなに口上で叫ぶ人なんだっていう自分の中でのキャラ崩壊がすごかったです。ともあれ、彼の口から「生業!!!」と聴けただけでも、両グループの関係を知っていればかなりアツい展開*1

そこから1曲目 ONCE AGAIN のイントロ。ぼくがRHYMESTERの名義では初めて聞いた曲でもあります。曲が始まるときに宇多丸さんが「人差し指を挙げろ!」みたいなことを言ってて、一発目からくるね~~~~~~~ってなりました。
ライブ翌日に知り合いと会ってセトリ見せたら「ONCE AGAINから始まるの激アツやなぁ」。わかる

そして (一応) 最新アルバム「ダンサブル」から定番になった Future is BornBack & Forth の流れ。ノーナファンを何年もやっているとFuture is Bornのポップ全振り感が楽しくってしょうがないです。「空に手を挙げて!バカみたいにブンブン振れ!」に参加できたの嬉しかったです。さらに生で一番聞きたかったBack & Forthを早くも3曲目に叩き込まれたぼくは気が狂ってしまい、このあたりから記憶が薄め。

宇多丸さん曰く、DJ JINの手元には2つのターンテーブルと2つのアナログレコードがあり、これがヒップホップの最も古典的なスタイルだと。それを今から皆さんにお教えします、と始まったのが ライムスターイズインザハウス!これも大好物です。Mummy-Dさんの「前後 前後前後 神の腕が生み出す言語」も生で見れてほんと~~~によかった。
からの続きで Deejay Deejay。「この世のすべてのDJに捧ぐ」という口上でかなりアガりました。最近ご無沙汰ですが僕も一応DJの端くれの端くれなんです。

さらにMCで「Creepyからのリクエストがあんまりにもしつこいから、20年前に作ったはいいもののライブで一度もやったことない曲をやる」と。これはおれの知らない曲だな、と思いましたが、始まった 前略 のカッコいいこと。Back & ForthのDさんは「初めましてのYouも馴染みのYouも余裕でまとめてRockしちゃう」なんて言ってますが、まさに有言実行でした。これが20年前のライムスターの実力なんだよな
余談: 全然気が付かなかったんですが、このとき2FのバルコニーみたいなところにRさんがいたそうです。めっちゃ踊ってたらしい。見てればよかった~~~

前略からメドレーで繋いだのはまたまた僕のお気に入り曲 グレイゾーン!これまた耳に残る曲です。去年のMTV Unpluggedのライブでは生バンドを携えた大胆なアレンジですげーカッコいいんですが、オリジナル版のトラック特有の不穏な感じも中毒性が極めて高くって、こっちを聴けたという大収穫でした。

さらにさらに、一曲というよりは口上的なラップの The R から再び初期曲の B-BOYイズム。2020年のRADIO EXPO 2020でCreepyとライムスが共演したときこの曲をやってた (音源は某動画サイトにあります) ので、じゃあ逆に今回の共演曲はこれじゃないんだな、と妙なメタ読みを挟みつつ。

一方で同ライブではB-BOYイズムだけじゃなくもう一曲共演してるんですが、まさか今日も............と思った矢先に K.U.F.U.!!!!!!予想的中。これもBack & Forthと並び生で聴きたかった曲同率ナンバーワンでした。Dさんバースの「だから今日はエコーも無しでダブルも無しで バカでもできるフローで殺す バカでもできるライムで殺す」で音が消えて (この演出はライブ限定!) 本当にラップで殺しにくる感じが大好きなんですが、バッチリ目に焼き付けました。

そして最後のMC。現在進行形でドンパチやっているロシア&ウクライナに触れ、「踊って楽しむこともレジスタンスですから」と啓蒙ダンスチューン The Choice is Yours で締め。まだ声は出しちゃマズい世の中ですが、終始腕をブン回して手を叩きまくる擬似的コール&レスポンスの嵐でした。Dさんの「PEACE FOR UKRAINE!」の叫びと黄/青カラーになるステージ照明が粋。

Act 2. Creepy Nuts

小休憩を挟み、客電が落ちて流れたのは「夢にまで見たイカしたhard day's night こりゃどうもしゃあない今日もまた眠れない」のフレーズ。一曲目は最新アルバム「Case」からシングルカットもされた Lazy Boy でした。ライブ前半のONCE AGAINとか、去年8月に行ったKIRINJIワンマンの「雑務」のときもそうだったんですが、生で初めて見るアーティストの一曲目は感極まって記憶がなくなりがち。

そしてMC (ここだったかな?もしかしたら3曲目のあとかも) では「何から話そうかな」ときて、まずは松永さんのコロナ全快話かな?と思ったらR-指定から「あのオッサンらヤバいなぁ」と爆弾発言。めっちゃわかる
Rさん曰く「前略とかグレイゾーンとか全然聞いてない。Creepy用に渡されてたライムスのセトリには "Deejay Deejay→ちょうどいい→ナイスミドル" って嘘ばっかり。どこがやねん!」。どうも前略リクエストはサラっとかわした振りしてしれっと演る、というサプライズだったらしいです。後でDさんが更新したRHYMESTER公式ブログ
starplayers.jp
には本当に偽セトリの画像が上がっててめちゃくちゃ笑いました。

2曲目は よふかしのうた。どうやら札幌公演でもアドリブ入ってたらしいですが、原曲の「お前に手を引かれて 出向いた土曜日の溜まり場」というパートが「KING OF STAGE引き連れて 帰ってきた地元大阪」に変わってて泣きそうになるなど。松永さんのプレイも数日前まで床に伏せていたとは思えないキレ。

からの3曲目、まさかやるとは思わなかった僕の一番お気に入り曲合法的トビ方ノススメ!!!全く予測してなくって、イントロが聞こえた途端に感情がぶっ壊れるあまり「めっちゃ飛び跳ねるからカバン踏んだらあかんなぁ」と妙な冷静さを発揮したのを覚えてます。それ以降はぶっ飛びすぎて本当に記憶がありません。

んで、合法的にトリップして息も絶え絶えになった身体に飛び込んできたのは知らないイントロでした。明るめのJ-POPに振ったノリの良い、それこそ「Case」で顕著だった作風の曲だったと思うんですが、帰って調べてみるとまだ配信もしていない新曲 2way nice guy だったそうです。
ハッピーな曲調から180度ひっくり返して重めの不穏なイントロ、5曲目は満を持してツアー表題曲 生業。ライブ映像は幾度となく見ているのですが、やっぱり後半の早口パートも生で歌えるんだなぁ。。。。。。と呆然としてました。

そして「よふかしのうた EP」つながりで 阿婆擦れ。最後の「I love hip hop だが hip hop don't love me/引っ叩かれてもっと fuck me」というフレーズがとにかく秀逸だなって聴くたびに思います。
3月に出た新曲 パッと咲いて散って灰に もこの流れで聴けました。この曲や2way nice guy、同じく3月に出たYOASOBIメンバーとの新曲「ばかまじめ」もそうですが、次のアルバムは「Case」のポジティブな感情をさらに昇華させたコンセプトになりそうですね。とはいっても、そういう曲ばっかりシングルカットしといていざ出すときには「デジタルタトゥー」とか入れてしまえるのがアルバムリリースという形態の良いところではあります。

さらにこの空気を引き継ぐ のびしろBad Orangez のメドレー。短めのスパンでクラップしたり手を振ったりと忙しい曲たちです。Bad Orangezではちゃんと照明がオレンジ一色になる演出も。
そろそろ終わりが近いかな、と思ったところに間髪入れず聴こえてきたのが かつて天才だった俺たちへ の重厚なイントロ!ちょっと意外でした。武道館公演とかSony Parkのライブとかで顕著ですが、ちょっと語り掛けるような重めのMCを入れてから力を入れ直すように始める曲、という印象が強かったのです。この曲を肩肘張らず歌いこなせるようになったぞというある種のセルフボースティング、というのは深読みでしょうか。

今度こそ締めのMC。「生業ツアーがコロナ禍で一旦流れて、2年越しの実現となった今回の公演だけど、2年前じゃできない曲もたくさんあったし、大先輩引っ張って対バンできるような実力もなかった」としんみり語ってからの最終曲 土産話!生業ツアーとは銘打っているものの、やはり「Case」のレコ発ツアーの最後、という性格が強い選曲のように思いました。


Act 3. RHYMESTER feat. Creepy Nuts

R-指定の最後のMCと「土産話」で観客席の雰囲気が感動100%だったところに「ウェイwwwwウェーイwwwww」と叫びながらステージに入ってくるMummy-Dさんが僕はすごく好きです。

そんなわけで「ヤバいオッサンら」が舞い戻るも、空気が空気なのでコラボをかなり渋るという茶番をこなす宇多丸さん。MC3人がコントやってる後ろで松永さんの刈り上げを撫でてニコニコしてるJINさんが本日のMVPでした。

いい加減やろう、とRさん。(今度こそ) 最後の曲は「素人やった俺が "ラップやってもいいんや" と思わせてくれた曲」、ザ・グレート・アマチュアリズム!Creepyの二人が何度もラジオ等で話しているお気に入り曲です。記憶している限り、Dさんの「チリも積もれば~」、「ネェ社長サン~」の部分はR-指定でした。宇多さんのバースの後半 (「ただし時に~」) はRさんとの掛け合い。しかし流石に日本一のラッパー、当然のようにアウトロでフリースタイルをかましてこられました。最後に入れてきた

前略 ブルーなケツしたナイスガイ
ただしオレたちのルーツはあくまでアンタらだと言っておきたいぜ

で感情が爆発しました R~~~~!!!RADIO EXPO 2020で共演したときK.U.F.U.の途中でDさんが「ただしお前らのルーツはあくまでオレだとは言っておきたいぜ」とCreepyに向けて歌ってたんですが、それに対するアンサーを2年越しに。

総括

サイコ~~~~~~!!!
あとヒップホップのライブってあんなに腕上げるもんなんですね。終わってから3,4日筋肉痛が続きました。

そしてこの文章を書いているのは5/13なのですが、ライブ中に披露された新曲2way nice guyは6/1に配信されるそうです!!!やった~~~~~~

*1:Nona ReevesにとってのMichael Jacksonが概ねCreepy NutsにとってのRHYMESTERに相当します。